1975年、広島県出身。東京都立大学理学部生物学科卒業後、日本アイ・ビー・エムに入社。営業としてITの活用を顧客に提案。 学生時代から関心の高かった農業には、週末ボランティアとして神奈川県小田原市の農家を2012年からサポート。2015年に実家のある広島県廿日市市にUターンし、独立して養蜂と柑橘を中心に農業を営む。 ITでの経験を活かし、養蜂業向けの支援システムであるBeeSensingを発案、高校時代の同級生が経営する株式会社アドダイスが開発。地域性と特色をあわせ持つ蜂蜜として、販路を拡大中。主力商品は「宮島はちみつ」、「沖美の輝き」など。
そして、スピッツの「はちみつ」をBGMに聞きながら定刻19:30に、あえる比治山、スタートしました。
自由な発想は、ここから生まれる
カルビーは、かっぱえびせん(1964年)、ポテトチップス(1975年)、フルグラ(1991年)など数々の大人気商品を生み出してきましたが、2006年に発売されたJagabee(じゃがビー)以降、ヒット商品がないのだそうです。
この危機的状況を打破すべく、「新感覚のヒット商品を生み出す」というミッションを背負って結成されたのがCFLで、あえて「カルビー色」に染まらない自由な発想ができるよう、マーケティング本部がある東京・丸の内本社や研究開発本部がある栃木・宇都宮から遠く離れた広島がその地に選ばれました。創業の地である広島の資源を活用したいという思いもあったそうです。
オフィスは席が決まっていないフリーアドレス式のため、カウンター席や、壁に面したお一人様ブースなどがある中で、自分がいちばん集中できる場所で仕事に没頭できますし、また、奥にある畳を敷いた掘りごたつスタイルの応接・会議スペースで打ち合わせをすると、短時間で相手との距離が埋まって、ぐっと仲良くなれるのだそうだそうです。
地道な活動と工夫の先にあるおいしさ
1975年、広島生まれの松原さんは外で遊んでばかりの虫好きな少年だったそうで、中高生時代は登山部に所属し、大学では遺伝学を専攻。コンピューター会社に就職したあとも「週末援農ボランティア」として3年間、休みのたびに農家の手伝いをしていたネイチャー派だったそうです。
かくして養蜂家とみかん農家の二足のわらじの道を歩み始めた松原さん。
その後、いくつもの困難も乗り越えてきました。蜂に刺されたり、蜂が分蜂してしまったり・・・。ちなみに、養蜂家の仕事をするうえで蜂に刺されることは「つきもの」ですが、経験を積むごとに扱いに慣れて、刺される回数は減るんだそうです。
その確認作業の時間短縮と作業品質向上のため、コンピューター会社での勤務経験がある松原さんが考えたのが、IoTとAIの導入。巣箱にセンサーをつけて、遠隔地からスマートフォンで温度や湿度をチェックし、週1回の訪問チェックの結果を合わせて、人工知能で分析・管理しようという取組みです。
負担が軽減されるメリットはもちろん、生産履歴を作成できることでエンドユーザーの安心・満足にも寄与できるとのこと。まだコストの問題や人工知能のデータ不足など課題はあるものの、古くから続く養蜂業と最新技術の融合というアイディアはワクワクする話です。
みつばちとはちみつの話
日本で見られるみつばちにはニホンミツバチとセイヨウミツバチの2種がいて、生態が違うため、扱い方や取れる蜜のタイプや生産量なども異なり、飼育のしやすさにも差があるのだそうです。
また、みつばちの行動範囲は、半径2~3km程度。その範囲内に生えているものから蜜を集めますが、季節ごとにさまざまな花が咲くため、どの花から蜜を取るかによって、できるはちみつの味も色も異なります。
まず1口味わって「美味しい!」「自分が知っているはちみつと違う!!」と目を輝かせると、ひとつずつ順番に味見をして「こんなに(味が)違うんだ」と驚嘆。これまで抱いていたはちみつの概念が、完全に覆されたようでした。
「僕も昔ははちみつが嫌いだったんです。美味しくなかったから」
という松原さん。
市場に出回る大半のはちみつは、個人の養蜂家から集めたものを混ぜて加熱しており、国産はわずか6%程度で、ほとんどが中国産なんだそう。最近では生産者の見える、産地もはっきりした商品が増えてきた。「自分で作ったものを食べて『美味いな』と思うようになった」松原さんは、そういう本物のはちみつが消費者の手元にどんどん届くようになってほしいと願っています。
はちみつの健康効果については、エビデンスは不明ながら、抗酸化作用やアンチエイジング、二日酔い対策などの効果が謳われていますが、その中でも、松原さんご自身が最も実感しているのは二日酔い解消の効果。
「朝、大さじ1杯のはちみつを取れば、一発です」
経験に裏打ちされた、自信に満ちたひとことに、会場内のビジネスマン諸氏からは「おぉ~!」と嬉しそうな感嘆の声が漏れました。少なくとも今日の参加者宅は、一家に一瓶、はちみつが常備されるにちがいありません。
グループワークショップ「お題“もし、比治山で養蜂を始めたら” 」
1組目|「H∞Hプロジェクト」ミツバチの飼育を通して住民の人間関係を豊かに
自宅庭でのミツバチ飼育も検討している松原さんは、「マンションに置くのは面白い。屋上の活用もできるし、ミツバチ飼育に対する地域の理解が得られるのはいい」と共感を示した内容でした。
2組目|繁茂している木を桜に植え替え、桜花からはちみつを取る計画
松原さんは「桜以外の時期にも蜂に餌を与えないといけないので難しいかもしれないが、できないことはない。マツダスタジアムの話などは、広がりがあって面白い」と評価。
3組目|ナチュラルテーマパーク比治山構想!
これには「街の中の山だからこそできることもあると、興味深く聞いた」と松原さんも感心。
4組目|「HHH♡♡♡」芸術と養蜂のコラボから地域全体の広がりへ
美術館を巻き込むアイディアに「自然ばかりに目が行くが、そういう活用法もあるのかと、目からウロコです」と松原さんは驚いた様子。
5組目|巣箱オーナー制 体験型の飼育で関わりを!
「養蜂はどんなことか知られていないので、こっそりやっていると思われないよう、体験してもらうのはいいと思う。インバウンドにつなげていくのも良いと思う」とは松原さんの弁。
6組目|本当のハニートラップ
「アレルギーのある人が刺されたら危険な場合もあるけど、ミツバチで亡くなるケースは少ない。そこまで危険ではない」と、ちょっと戸惑い気味の松原さん。「でも、ハニートラップはすばらしい」とコメント。
全グループのプレゼンが終わり、その中で、栄えある「松原賞」に輝いたのは・・・
・・・・・・ドゥルルルルルル(ドラムロール)・・・・・・・
「H∞Hプロジェクト マンション!」でした!
選者の松原さんいわく、「いちばんリアリティがあると思ったのと、地域と関わることはすごく大事なので、住んでいる人が直接(養蜂に)携わることでより深く関わることになると思いました」。
はちみつロールケーキを囲んで懇親会
あえる比治山 vol.001 企画概要
主 催:広島市・SATOMACHI
事務局: 株式会社和大地
協 力:カルビー株式会社 Calbee Future Labo・はつはな果蜂園
日 程:2018年10月10日水曜日
時 間:open19:00- / start19:30- 懇親会21:00-
会 場:Calbee Future Labo
住 所:広島県広島市南区松原町5-1 BIG FRONTひろしま7F
案 内:http://satomachi.jp/blog/2018/09/29/aeru-hijiyama001/
文/北野 真弓
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