SATOMACHI/さとまち

街中の自然を味わう仕掛けで、来を創る。

“困っている誰か”のために、“感覚”で応える。OSAJIに学ぶ、日常に寄り添うブランドの哲学| あえるひろしま#06イベントレポート

OVERVIEW「感覚」でつくる、100年ブランド。

3月26日。広島・ミナモアに広島初出店したスキンケアブランド「OSAJI」を迎え、あえるひろしま06が開催されました。ゲストはOSAJI代表・茂田正和さん。化粧品という日常に寄り添うモノづくりを通して、なぜ「人生をドラマチックに」できるのか。スタートアップやローカルに関心を持つ参加者と共に、ひと晩限りの“感覚の実験室”が立ち上がりました。

  • 開催日・時間:2025年3月26日(水) 19:00–22:00(交流会含む)
  • 開催場所:ポートクラウド(広島県広島市中区基町5-44 9F)
  • 主催:nextひろしま、SATOMACHI(株式会社和大地)
  • ゲスト:茂田正和(株式会社OSAJI 代表取締役・ブランドディレクター)
  • 参加者数:約30名(起業希望者、事業開発担当者、学生、OSAJIファンなど)
  • イベントの目的:
    「“自分ごと”をビジネスにするには?」
    ブランドの立ち上げや事業創造において、「自分の中にあるこだわり」や「感覚」といった曖昧なものを、どう価値として社会に届けるのか?ゲストの実体験や感性にふれながら、自分自身の視点を耕す時間をつくることを目的としました。

感覚でつくる。ホスピタリティから始まるブランド哲学

「人が困っていることに、感覚で応える」。
茂田さんの言葉は、どれもセオリーではなく、心と身体で積み上げてきた“体験知”に満ちていました。

かつて音楽業界でレコーディングに携わったりもしつつ、ふと時間があった時に母親が疾患のために困っていることをきっかけに母親のために化粧品を独学でつくりはじめた茂田さん。温泉旅館の化粧品をOEMで作ったり、自分のブランドを作って大手のリテールに卸を行っていた経験を経て、時流を読みつつ「大切な人のために作り届けたい」と始めたのがOSAJIでした。
売れる商品より、必要とされるもの。
トレンドより、誰かの“日常”に溶け込むもの。
OSAJIはそうして、「困っている誰かのためのプロダクト」を次々と形にしていきます。コロナ禍で商品化された手指消毒アイテムやセルフネイル商品も、そうしたホスピタリティから生まれたものでした。

「100年続く」ブランドは、“かんかく”を信じる組織から生まれる

OSAJIが目指すのは、「100年続くブランド」。
でも、その道のりは、一直線でも完璧でもありません。

「経営は80点でいい」
「いろんな人のベクトルがぶつかることで会社は動く」
「若い人の感性がおもしろい」

そう語る茂田さんの姿勢は、OSAJIというブランドの強さと柔らかさ、その両方の源のように感じられました。
一人ひとりの“気配り”が連鎖していく組織。
トップダウンではなく、共に創る。
そうして生まれた文化は、製品の中だけでなく、社内のコミュニケーションやお客様との関係にも自然とにじみ出ているのです。

“自分の感覚”を信じることが、未来をひらく

イベントの終盤には、参加者との対話も交えながら「なぜOSAJIをやるのか?」という根源的な問いが交わされました。

「人に何かを“してあげたい”ではなく、“一緒に感じたい”と思えるかどうか」
「0の瞬間と1のはざまにある“感覚”に気づけるかどうか」

茂田さんが繰り返し語っていたのは、“感覚”を大切にするということ。

マーケティングや数値よりも、誰かの気持ちにふれる直感や、美しいと感じる瞬間の蓄積こそが、ブランドの芯を形づくっていく。
それは、生活の中の小さな選択や、誰かを想うしぐさにも通じるもの。
モノづくりに限らず、働き方や人との関わり方にも、“自分の感覚を信じる”という姿勢が未来をひらいていく——そんな余韻の残る夜となりました。

茂田さんの言葉たち

  • モノづくりが好き、料理が好き。
  • レシピをみて料理を作らない。
  • 味覚のゼロ地点。
  • ゼロと何かがあるの、比較が大事。
  • 森も香りが豊か。
  • 100年続くブランドってある?
  • どこのおばあちゃんの家にもあるユースキンみたいな。
  • 何を残せるか。人は名を残す。
  • 日本人でしかできないことを考える。
  • オープンコミュニケーション。身内でも気配り。
  • 本当に欲しい気持ちを醸成させる。
  • 企業経営は80点。100点を目指すとスタッフのストレスに。
  • でも誰かの100点を目指す。
  • いろんなベクトルがあっていい。
  • ブレることに意味がある。
  • 枷を切る作業。
  • 今の若い子は感覚的に作っている。
  • 自分のことは自分でやる。
  • 顕在化しているニーズはサービス。潜在化のニーズに応えるのがホスピタリティ。
  • 潜在的に困っていることをいろんな視点で考えている。
  • 働きたい会社かどうか。
  • 組織図を書くと役割を越えなくなる。
  • 消費者責任が足りない。
  • セオリーより感覚を信じよう。そうじゃないと人を感動させられない。
  • 日本の美意識が大切。ブランド名は和名しか考えられなかった。
  • スタートアップや第二創業を手伝うし、いろんな人と共創したい。

“あえるひろしま”が、自分の物語に出会う場所であるために

イベント後、「私、互助会員なんです」と声をかける参加者の姿が印象的でした。
立場や世代を越えて、価値観でつながる人と出会えること。
そして、自分のこだわりや想いが誰かの共感に触れたとき、「あ、自分の歩いてきた道も意味があるかもしれない」と思える。
そんなふとした気づきや、ささやかな肯定感が、次の一歩につながっていく。
“あえるひろしま”は、これからも誰かの小さな物語が始まるきっかけになれたらと思います。

ギャラリー(PHOTO GALLERY)

イベントの様子を伝える写真を以下に掲載します。

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