『枯れ葉がたまり、たき火であたたまり、未来への想いがたまる。そんな冬のone dayに。』
広島市とSATOMACHI(運営会社:和大地)が主催する「あっ“たまる”比治山」は、冬の比治山公園を楽しむ、スポーツGOMI拾い・たき火・エンガワ遊び・トークセッションのほっこりone dayとして開催しました。後半は午後に開催したたき火DayCampの様子を、スポGOMI編に続きウチトミさんのレポートでお届けします。
おいしくなーれと祈りをこめて|焼き芋づくり
スポGOMIが終わったら、楽しみなお昼ごはん。
の前にもっと楽しみな焼き芋づくり。スポGOMI前にみんなで包んでおいた芋を、子どもたちも手伝って、落ち葉の灰に放り込んでいきます。
「えっ?火がついてない、この灰のとこでいいの?」
そんな顔をしている子どももいますが、安心してください。灰の中で焦げないようにじっくりと蒸しながら火が通っていくのを待つのだそうですよ。2時間後が楽しみです。
誘惑だらけの昼食|あったかブース
取材の合間に、夫がチョイスした昼食をちょこちょことつまみ食いさせてもらいました。比治山のある段原地区のお母さんたちのグループ「ボランティア段原」さんがつくった豚汁。愛情たっぷり・具たっぷりで、あたたかくてじわじわと身体に染みわたりました。
同じく地元の「段原キッズクラブ」さんのつくるマグロドックは、あんまり考えずにかぶりついたらお肉と勘違い。その肉厚な身がジューシーなこと。あとからマグロと聞いてビックリでした!
「カフェテラス倶楽部」さんのコーヒーも、用意されたアウトドアチェアに腰かけて、ゆったりと味わい、体もあたたまっていいかんじ!
はつはな果蜂園さんの江田島産でつくられたはちみつレモンも、はちみつの香りと甘さが抜群で、とても飲みやすくおいしかったー。
「ぶち」さんの大迫力の大きな塊肉や、
「CARLOS」さんのからだに沁みるあったかホルモンうどん、
「BINGO BBQ協会」さんの焼きバナナや、焼き焼きセットでつくる焼きマシュマロなどなどなどなど。
時間があったら全部食べたかったです!
なんだか自由で心地よい、たき火DayCamp
焼き芋ができるまでは自由な時間。
たき火にあたったり、ひたすらおいしいものを食べ続けたり、ワークショップに参加したり、エンガワあそびコーナーで遊んだり、足場板でできたアスレチックで遊んだり、ただただ走り回ったり、特別な道具を使って安全な薪割り体験をしたり、アウトドアグッズを物色したり…
大人も子どもも、自由に思い思いに過ごす心地よさ。詰めこむのではなく、何もしないも選べる余白。しかもこのあとホクホクの焼き芋が待っている♡心の充実感ハンパナイ!
本当に素敵な1日です。
みんながどんなふうに過ごしていたのか、すこしずつ覗いてみました。
昔ながらの遊びに夢中|エンガワ遊び
エンガワあそびのコーナーは、終わるまで、いや終わった後もずーーっと大盛況でした。
実は私の長男は父親と一緒にほとんどずっとここで遊んでいました。息子のお気に入りは落ち葉プール(あまりに子どもたちがはしゃぎ空気が抜けてしまいましたが子どもたちにはお構いなし)。
プールの中で「いらっしゃいませ~」とお店ごっこをしたり、走って助走をつけて飛び込んだり(ラグビーだそうです)。
落ち葉が集めてあるだけで無限に遊べる子どもの発想力ってすごいなぁと驚かされました。たこあげ、竹とんぼ、コマまわし、けん玉、リム転がしなど、昔ながらの遊びも充実していました。
「リム転がし!初めて本物見たー!」という大人もいました。リムを転がすのはなかなかコツがいるので、フラフープのようにして遊ぶ親子の姿も。コマは色々なカタチや大きさのものがあり、素材も木やブリキなどさまざま。レトロでかわいいコマ、ちょっとほしくなっちゃいました。
上手にギューン!と回して遊ぶ子、ただ並べて遊ぶ子、色々な遊び方ができて面白いな。けん玉じょうずな子に触発されて私も久しぶりにチャレンジしてみました。とっても久しぶりだし、家族の前でけん玉なんてしたことなかったから、すこしドキドキしました。
昔ながらの遊びは、大人も子どもも楽しめていいなぁと、改めて思いました。
宝物に目を輝かせながら|冬のしぜん探し【ワークショップ】
昨年のあったまる比治山にはなかったプログラム。自然が大好きでたまらない広島環境サポーターのみなさんと一緒に歩いて探す、比治山の冬の自然。
どんな自然と出会えるんだろうと親子連れをはじめ、多数の参加者。約1時間比治山公園内を歩いて回り戻ってきました。拾ってきた冬の自然を見せ合い、復習をする様子を見せてもらいましたが、どんぐり、ムクの木の葉、椿の花、クロガネモチの実など、たくさんのものが集まっていました!
どんぐりと一言でいっても「おへそがひっこんでいるシリブカガシは灰汁(あく)がないのでフライパンで炒って食べられるけれど、おへそがひっこんでいないアラガシはおいしくない」のだとか。広島環境サポーターのみなさんから色々なことを教えてもらって、すごく勉強になりました。たくさんの人に自然のことを知ってほしいという気持ちで活動されているそうですが、日々自然を観察しながら生活するのは本当に楽しいんだろうなぁというのがよく伝わってきました。
自然からの贈り物|花炭づくり【ワークショップ】
こちらも自然大好きな広島環境サポーターのみなさんによる、自然とたき火を活かしたワークショップ。つくり方は意外とシンプルで、松ぼっくりや、小枝、好きなものを選んでアルミ缶に入れます。缶を密封したら、たき火にくべて、待つこと20分。
ふたを開けると、アルミ缶に入れた自然からの贈り物が、そのままの形で綺麗な炭に変わって、素敵なお土産の完成です。
いいなぁ~!私も参加すれば良かった!!!
たき火に興味津々の方にはこちら|たき火ワークショップ【ワークショップ】
最初のOUTDOOR SAVAGEさんによるワークショップでは、火を起こす前のセッティングから、火をおこして大きくしていくまでをわかりやすく教えていただきました。
ライターも着火剤も使わず、メタルマッチから出る一瞬の小さな火を、麻ひもをほぐしたもの、カンナくず(落ち葉でも可とのこと)、細い木、薪へ…というふうに、少しずつ大きく育てていくことにロマンを感じました。ちなみにSAVAGEさんの使っている火吹き棒やたき火台は廿日市市で野良道具を作っているノラクリエイトさんのものだそうです。
参加者と一緒に育てていった火を使って、カルビー株式会社のカルビーフューチャーラボさんが開発した“のせるん!”を使ったホットサンドを焼いて食べました。次のPOWER‘Sさんの、段ボールを使ったスモークのワークショップには、大人の参加が多かったように思います。スモークしたチーズなんて、おつまみに最高ですよね。ダンボールを使って、簡単においしい燻製ができるなんてビックリです!実際に燻したものを食べさせてもらって、贅沢なワークショップが続きます。最後に、日本焚火学会さんと庭能花園の着能さんによるワークショップで、たき火の仕舞い方・灰の活用の仕方まで教わって、一連のたき火ワークショップは終了しました。
火はこわい面もありますが、きちんとつきあえば大丈夫。人間の営みに欠かせない、とっても奥が深い世界です。
私もたき火したくなって、一緒に参加した友だちと、今度さっそくお庭でたき火をする約束をしちゃいました。
自主的にたき火の守りを続ける子もいて、なんだかみんな、ちょっと火と仲良くなれたような。
赤ちゃん連れにも安心、快適
「授乳室やおむつ替えスペースもあります」と事前に聞いていたので、子ども連れでも安心して参加できました。
そういう特別なテントがあるのかしら?とワクワクしていたのですが、なんと、会場すぐ隣にある広島市まんが図書館の授乳室を借りられたのでした!
図書館に入ったら、事務室のドアをコンコンとノックして、授乳室のドアを開けてもらいます。授乳室は暖房も効いていてあたたかく、ベビーベッドもあって、とても快適でした。
さすが、都会のアウトドア。こういった情報が事前にあれば、親子連れの参加がもっと増えそう。
たき火を楽しむ先輩キャンパーたちも集合|しぜんとひろしまブース
同時開催のしぜんとひろしまWEEK vol.0のブース。広島市内のアウトドアショップなどが“たき火”をテーマにブース展開しました。GOODSCAMPANYさんは見ているだけで楽しいアウトドア小物などもたくさんあり、おしゃべりがとても楽しかったです。POWER’Sさんはブース出店してくださっただけでなく、いろんな方々にも声がけをしてくださって場を賑やかにしてくださったそうです。そのPOWER’Sさんの声がけで集結した日々キャンプを楽しんでいるキャンパーの方々は、インスタ映えが半端なくて憧れる〈ゆーかとおひげ〉さんやアウトドアなクルマを並べかっこいいキャンプをされていた〈野塾〉さん。キャンプの楽しみ方をおすそ分けしてもらいました!
WOODPROさんの足場板を使ったアシバチックスや足場板を割って薪をつくる体験は、子どもたちに大人気。姿は途切れることがありませんでしたし、YAMANOIさんのペレットを燃料にしたストーブやピザ窯を見て、購入を検討した方もいらっしゃるとか。
待ちに待った焼き芋タイム|ほっこりタイム
やきいもが焼けた!の合図を聞いて、みんなが列を作りました。
スキップしながら集まってくる子どもたち。♪やきいもやきいも おなかがグー♪という歌が色々なところから聞こえてきます。私も心の中で口ずさみ、くすっと笑ってしまいました。なんて幸せな行列なのでしょう。
たまたま散歩に来たというご夫婦も、やきいも券を買って、この幸せな行列に加わりました。少し並ぶと、すぐに私たちの順番がやってきました。
焼きたてのやきいもを受けとって「いただきます!」
わぁ、あっつあつの、トロトロ!黄金色したやきいもは本当においしくて、それはまさに幸せの味でした。
いたるところでやきいもをほおばる姿。ほくほくおいしそうです。やきいもはみんなを幸せにする。これ、間違いないです。
ゆるくて、熱い|FUTUREトーク
やきいもを食べながら、これからのことをちょっとおしゃべり。FUTUREトークがはじまりました。スポGOMI創始者の馬見塚さん「スポGOMIは今まで900回ぐらいやっているけれど、焼き芋とコラボしているのと、家族の参加がこんなに多いイベントは他にはないです。」スポGOMIを始めたキッカケを聞かれた馬見塚さん。「走りながらゴミを拾ってみよう!」と、ゲーム感覚で始めてみたら楽しくなってきちゃって。それから色々な「マイルール」を決めてゴミ拾いを楽しむようになったそうです。
スポGOMIの原点は「マイルール」を設けて、「楽しむ」ことだったんですね。
アウトドアブランドTHE NORTH FACE 統括の森さんからは、
「なかなかない、いいイベントだなー」
「捨てちゃうゴミをアップサイクルする、というのがいい!」
また、馬見塚さんの「マイルール」に同調する森さんは、ペットボトル飲料を買わないというマイルールを決めて取り組んでいて、予想していたよりもずっと長く続いているそう。
他の人に強制するのではなく、「自分チャレンジ」を楽しむ。「楽しんだ結果、地球にやさしいって、いいよね。」とおっしゃっていたのが印象的でした。「都市部にありながら森が広いな」と比治山の印象を語った同じくTHE NORTH FACE の田中さんは、トレッキングしながらゴミ拾いをしたり、朝の公園でゴミを拾ったりする活動が職場でおこなわれているということを教えてくださいました。
また、今年のテーマついて尋ねられた、広島市との共同主催者のSATOMACHIの和田さんは、
「近年アウトドアがブームになっていますが、その次のステップは『環境について考える』かなと思います。そして、柴刈りが環境保全や防災につながる、というふうに、社会貢献につながる動きになっていけばいいですよね。
たき火や山の整備などを通してそういった意識を高めていくと、市民のレベルも高まっていく。せっかく自然が豊かな広島に住んでいるのだから、身近な自然をもっと使っていきたいです!』
自然を楽しみながら、ちょっとイイコトしていこう。とのこと。
「これからは、環境のことを考えないとカッコ悪いよねという社会になっていく」と森さん。カッコイイかカッコ悪いかの基準は子どものときにできるので、これからの子どもへこうした機会が大事になるとのヒントをいただきました。焼き芋を食べながら白熱してゆく、ゆるいのに熱い不思議なトーク。聞きながら、ものすごく納得している自分がいました。
このイベントでは、他の人に強制するようなことは絶対にない。お説教臭さもない。「ゴミを捨てるのをやめよう!」なんて言葉、この会場で1度も聞かなかった。
だけど、今日参加した人は今後絶対にポイ捨てなんてしないだろう。そういうことを、体で学ぶというか、魂で学ぶというか…。
実は私、大学時代は祭の会場でゴミの分別などに取り組む環境サークルの活動をしていました。でも、いくらがんばってもポイ捨てをなくすことはできなくて無力感におそわれました。
けっきょく環境問題ってなんだか大きすぎて、家の中で小さく取り組むしかできませんでした。
でもここでは、子どもから大人までこんなにたくさんの人が、楽しく、気持ちよく、それでいて実はしっかりと環境問題に取り組んで、すがすがしい気持ちになっている…!!!
目から鱗でした。そこに、あったまる比治山について「元気が良くて、よかったね。このゆるい空気がいいね。」と司会のキムラミチタさんの声。
ほんとにそうだなぁ。この場所が続いていけば、世界平和すら実現しそうな気がします。
遠くのほうでまだまだ元気に遊びまわっている子どもたちにも呼び掛けて、みんなでしめのことば。「あったまる~」「ひじやま!!!」・・・と、イベントは終了したのですが、みんな、なかなか帰ろうとしません。みんなで会場のゴミ拾いをして、お片付けもちょっと手伝ったりして。この素敵な場所から離れたくない気持ち、とってもよくわかります!
おわりに
豚汁を提供してくれたボランティア段原のおかあさんと話したときに「子どもさんが多いイベントに参加させてもらって、元気もらっとるんよ。子どもたちは何が好きかね?」と来年のメニューを相談されました。それをスタッフの方に話したら、とっても嬉しそうにされていました。
参加者、出店者、企画者、そして地域の消防団やボランティアの方、偶然立ち寄った人でさえも、みんなが楽しく、ほっこりあたたまるイベント「あったまる比治山」。
来年も、みんなの心と体を、ほっとあたためてくれるんだろうな。
text :うちとみ みお
photo : 香川 賢志
名 称: あっ“たまる”比治山 2019
主 催: 広島市・SATOMACHI 事務局: 株式会社和大地
協 力: OUTDOOR SAVAGE、WOODPRO、株式会社エージェントゼロ、カフェテラス倶楽部、カルビー株式会社 Calbee Future Labo、CARLOS、キムラミチタ、GOODSCOMPANY雑貨株式会社、株式会社ゴールドウイン、一般社団法人ソーシャルスポーツイニシアチブ、段原キッズクラブ、段原公民館、段原地区町づくり協議会、株式会社テレビ新広島、庭能花園、日本焚火学会、株式会社ノラクリエイト、はつはな果蜂園、POWER’S、株式会社ビッグアーム、広島環境サポーターネットワーク、広島自然観察会、広島市現代美術館、広島市まんが図書館、NPO法人ひろしまジン大学、BINGO BBQ 協会、ボランティアだんばら、無印良品 広島パルコ、モチプロ・サポーターズ、ヤマノイ株式会社(五十音順)
日 程: 2019年12月7日(土)
会 場: 比治山公園御便殿広場
タイムテーブル: