SATOMACHI/さとまち

街中の自然を味わう仕掛けで、未来を創る。

豊かな自然とともに、みんなが集い育みあう。|ととのえる比治山vol.1~リーダー養成講座~

公園や裏山は、昔から子どもたちが遊びまわる定番の遊び場であり、“育み”の場所です。でも、よくよく考えてみると、子どもたちだけの場所でしょうか?自然や里山は懐が大きく、遊び以外にも、癒しや安らぎ、生きるための力や知恵など、実は大人の“育み”にもなっているはず。
街中にありながら自然豊かな比治山公園を、そうした大人も子どもも育まれる大事な場所にしていきたいと考え、“育み”ながら比治山を“ととのえる”(整備する)ことで“育み”やすくなり人が自然と集う場所になる。そんなことを思い描きながら、広島市とSATOMACHI(運営会社:和大地)が主催し「ととのえる比治山vol.1~リーダー用養成講座~」を開催しました。

「リーダー養成講座」前半戦。座学スタート!(9:00~11:30)

比治山のかまぼこ型の建物。それが放射線影響研究所(以下、放影研)であることは知っていても、あまりなじみがない人も多いと思います。かくいう私も、今回の養成講座で初めて建物の中に入らせていただきました。

養成講座の参加者のみなさんも、その静かで趣のある雰囲気に緊張気味でしたが、講座が始まり、実習までを共にする参加者同士、各グループで1分ずつ自己紹介していただき、表情も和らでいきました。

今回の講師は、長年にわたってボランティアで伐倒作業にあたってこられた、NPO法人ひろしま人と樹の会の櫻井さん。こうした講座は何回もしているものの、この日のために初めてパワーポイントで作ったという資料を前方のスクリーンに投影しながら、元気にどんどん話を進めくださいました。

最初に、「日ごろからチェーンソーを使っている人、手を挙げてみてください」と参加者に聞くと、半数以下。普段から山の整備に携わっている人は少なく、「興味はあるし、知識も身につけたいと思っていたので」という人が多かったようです。

もちろん山の整備の基本から学んでいくものの、今日はあくまで「リーダー養成」の場。

リーダー(指導者)の役割は、大きく3つあります。

(1)事故を起こさせない、(2)技能を向上させる、(3)参加者に達成感を得させる。

この3つの役割に沿って、事故防止やリスク管理など安全管理の基本的な考え方や、装備(保護具)やチェーンソーの構造や使い方など、実際の事故などの事例や写真を活用したり実物を見ながら学んでいきました。

印象的だったのは、山での作業は、常に危険と隣り合わせだということ。なので、1人でなく、2人以上で入るのが望ましいし、木一本切るにしても、決して自分一人の考えで状況を判断するのではなく、他の人と考えを交わしながら、作業の時は声をかけあって進めるべきだと言われていました。山で作業する時の心構えとしてもですが、「これってチームで仕事する時も同じでは?」とハッとさせられることも多かったです。

途中休憩を挟みながらでしたが、こうした2時間の座学を通じて、午後の実習や実際に取組む場合のことなどめいめい思い描いていきました。

後半戦は、緊張の外でチェーンソー実習!(12:30~14:30)

午後は、比治山の南側の藤棚のある広場に移動し、いよいよ実習。実際にチェーンソーを使って、その使い方など学びます。

チェーンソー使用の経験の有無で2グループに分かれ、進めました。経験者グループは準備してあった桜の丸太を実際に切りながら、櫻井さんからアドバイスをもらうなど、スキルアップに励みました。

一方、未経験グループは現物のチェーンソーを囲んで、まず構造などを確認しました。そして、大切な「目立て」へ。

チェーンソーもいつでも切れるわけではなく、ずっと使っていると切り口がギザギザに。これはチェーンの刃のどれかが切れない状態になっているためです。そこで実施するのが「目立て」。包丁の切れ味が鈍くなったら砥石で研ぐように、チェーンソーの刃も切れ味を保つために整えてあげることが必要です。刃の高さや角度など、繊細な調整を行いながら一人一人目立てを行いました。
この作業、地味ですが、「目立て3年」とも言われるくらいかなり難しく、大切な作業なのです。実際に、目立て後に改めて丸太を切ると、切り口は一目瞭然。切った際に出る木くずの形もカンナで削ったようにきれいでした。

そしていよいよ未経験グループの皆さんも装備を整えて順番に丸太切り。ヘルメットのフェイススクリーンの装着やブレーキなど、手順を一つ間違うだけでも危険が迫ります。命に関わることですから、そういう場合は櫻井さんから厳しい声が瞬時に飛びます。チェーンソーのパワーとリスクの両方を体感されていました。

最後は、締め括りとして直径30cmはあろうかという大きな木を伐倒しました。対象の木だけでなく、木の直径や重心、枯れ枝や蔓など周りの木との連なりや地面の傾斜などから総合的に判断し、アプローチを検討します。木の倒れる向きを補助するためのロープを木にかけて、退避ルートも含め指差し確認、いざ起動。熟練の方でも難しい決断の連続で伐倒に当たられていることを実感しました。

その後、朝の4つのグループに分かれて本日の振り返りを行いました。

  • 硬い木を切ると思っていたよりもすぐに刃がダメになりやすい
  • 手が小さいとブレーキがしづらい
  • 手先だけでなく体を預けて作業したほうが安定する
  • 目立ての大切さの実感

など、実際にやってみたからこその気づきが多く挙がっていました。全体で反省を共有し、最後に講師を務めたひろしま人と樹の会の皆様からひと言。

まず櫻井さんからは、

  • ヘルメットのかぶり方
  • 切った木からはすぐに離れること
  • 今日体験したヒヤリハットを今後の作業に生かしてほしい

というお話しから、安全を確保して作業することの大切さを一貫して伝えられました。続いて、中元さんからは、

  • 今回参加したことだけで「もうチェーンソーは大丈夫!」とは思わないでほしい

と過信を戒めるような一言がありました。そして、岡川さんからは、

  • 同じような作業にあたる機会があれば、自分で今日の気づきを反芻するだけでなく、ぜひ一緒に作業する周りの人と共有してほしい

といったアドバイスがありました。

比治山に響き渡るチェーンソーの音。その場にいると、不思議な組み合わせに感じたものの、もしかしたら、これから比治山では普通の光景になるかもしれません。その時にはきっと「自分たちでできることは自分たちでやってみる」人たちが増え、比治山がもっと素敵な場所になっているかもしれないと、心地よい疲労を感じた一日でした。

ととのえる比治山 vol.001 企画概要

主 催:広島市・SATOMACHI
事務局:株式会社和大地
協 力:学校法人穴吹学園 穴吹デザイン専門学校イオンモール株式会社広島段原ショッピングセンター、段原おやじの会、段原地区町づくり協議会、庭能花園、株式会社ノラクリエイト広島市現代美術館広島市まんが図書館NPO法人ひろしまジン大学NPO法人ひろしま人と樹の会公益財団法人放射線影響研究所、ボランティア以心伝心、モチプロ・サポーターズ(五十音順)

日 程:2019年2月16日土曜日
時 間:受付開始 8:45- / 講座開始 9:00- 終了予定時刻 15:00
会 場:座学|放射線影響研究所・会議室、チェーンソー研修|比治山公園内南側・藤棚のある広場

案 内:https://satomachi.jp/blog/2019/01/21/totonoeru-hijiyama001/

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