広島市とSATOMACHI(運営会社:和大地)が主催する「あっ“たまる”比治山」は、冬の比治山公園を楽しむきっかけをみなさんとつくる取り組みです。今回は初の2日間の開催。天気にも恵まれ、12月4日は延べ約700人、5日は延べ約
今回は趣旨にとても賛同してくださったライターの大須賀あいさんに、どんな2日間だったかを書き記していただきました。どんな2日間が街中のちいさな山の上であったのか。振り返ると良かったことも課題な点も色々ありますが、遠くの豊かな自然ではない、足元にある身近な自然の可能性を感じてもらえたらと思います。
SATOMACHI
心がすっと自然体になる、素敵なone dayを比治山で
今年初めて冬のはじまりを感じた、シンシンと寒い12月の第一週ウィークエンド。「1年中夏だったらいいのに」と本気で思っている私は、寒さが大の苦手です。天気予報を何度も確認して、全身フル防寒装備で比治山へ。しかし、そんな大袈裟な防寒具は必要ありませんでした。「あっ“たまる”比治山」という名前のとおり、たくさんの「あったかさ」に触れた2日間を、文章で綴っていこうと思います。
申し遅れました。今回レポートを担当する、大須賀あいです。広島を拠点に、さまざまな媒体にて取材ライティングを手がけ、日々ライター業に勤しんでいます。
お恥ずかしい話、本イベントには初参加。ここ数年「最近の比治山、ちょっとアツイみたいだぞ」と感じながらも、開催場所である比治山公園御便殿広場の場所さえ露知らず。
しかし、何からお伝えしたらいいものでしょう。広場内にはデイキャンプ風の飾りつけ、走り回る笑顔の子どもたち、空へ立ち上る焚き火の煙、そしてアウトドアコンテンツや飲食ブースが軒を連ねています。
いつもの公園が、ちょっとばかり特別な場所へと変わったツーデイズ。「あっ“たまる”比治山」には、たくさんの幸せが振動していました。
比治山をステージに、汗をかいてゴミ拾い│スポGOMI
1日目の幕開けは、ゴミ拾いにスポーツのエッセンスを加え、「競技」へと進化させた日本発祥の新しいスポーツ「スポGOMI」です。比治山では4回目の実施となり、再参加の方も多く見受けられました。
今回参加したのは、40チーム約140人の老若男女。家族や友人たちとチームを作り、比治山公園周辺のゴミ拾いに60分間徹します。
その前に、忘れてはいけないのが着火式。MCのキムラミチタさんから「ファイヤー!」のかけ声で山上に積まれた落ち葉に点火します。スポGOMIに参加すると、もれなくもらえるのが、この焼き芋です。落ち葉で作る焼き芋、外で食べる焼き芋。想像しただけで、顔がにやけてしまいます。
焼き芋の準備が終わったら、「ゴミ拾いは、スポーツだ!」の合言葉とともに、スポGOMIのスタート。本来なら全員で大きな声を出して叫びたいところですが、小康状態と言えど、今は新型コロナウイルス禍です。かけ声は、ミチタさんのマイク越しの声のみ。来年は、マスク無しで、みんなの大きな声が聞けることを願います。
参加者の皆さんに混じって、私も競技エリアを周ってみました。歩く、走る、しゃがむという動作が常に続き、ダウンジャケットの下にじんわりと汗が流れ、息がきれそうになります。ゴミ拾いがスポーツになるなんて少し大げさだと思っていた自分を、開始数十分で大反省です。
競技終了後、ぺしゃんこだった袋をゴミで大きく膨らませ、参加者の皆さんは計量の列に並び、ゴミの量と質を競います。落ち葉や木もゴミとしてカウントされるのは、比治山でのスポGOMIだけの特別ルールです。
表彰式では、ブービー賞、そして開催日の12月4日にちなんで12位と4位、上位3組が発表されました。優勝したチーム「丸&山(まるあんどやま)」は、総重量21.13kg、2,475ポイントを獲得。ナンバーワンへの作戦は「茂みの裏を見ること」だそうです。どの入賞チームも笑顔でいっぱい。豪華景品をゲットして、汗をかいて、環境も美しくなる。今日は清々しい気持ちで、1日過ごせそうです。
スポGOMI運営団体の代表・馬見塚健一(まみつかけんいち)さんによると、今日収集できたゴミの総重量は267kg、自然物を除けば、109kgの人工物が拾えたそうです。「毎年800万トンのゴミが海に流れています。例えると飛行機五万機相当。その8割が陸から出たゴミです。今日は皆さんの拾ったゴミで、海が助かりました」
これまで馬見塚さんが開催したスポGOMIの回数は、国内外1,000回以上にのぼります。今回の比治山開催で集まった人工ゴミは、ペットボトルや瓶、缶の割合が多く、他大会と比較すると、タバコの吸い殻が少ないのが特徴的だそうです。
「スポGOMIに参加した後、普段の生活から自然と街中のゴミを探すようになります。ゴミ問題を自分事として捉え、1人1人が環境について意識してもらえたら」と馬見塚さん。
共に手を取り合い、楽しくゴミ拾いをする時間は、日々をますます豊かにしてくれるに違いありません。
食べたいものばかり、選ぶのも一苦労│あったかブース
お昼になると、お腹がグー。飲食ブースには、誘惑のおいしい匂いが立ち込めています。あれもこれもと欲張りたいところですが、悲しいかな胃袋は1つです。スポGOMI後に少し体が冷えてきたため、温かくてボリューミーな昼食をとりたいところ。悩んだあげく、庄原DMOさんの里山おでんと猪(いのしし)ウインナーをいただきました。
庄原でとれたいのしし肉、高野大根、総領こんにゃく、奥備後の卵、全て庄原産の具材がゴロッと入ったおでんは、里山の魅力が一皿に凝縮。ジビエには少し苦手意識がありましたが、全く臭みがなく、その食べやすさに驚きました。
「丁寧に下処理をしているので、柔らかく独特の臭みもありませんよ」と、庄原のジビエの処理加工場に勤め、庄原古民家宿の出張料理人も務める三河功治さん。猪の被り物が、なんともキュート!
食後のスイーツは別腹です。甘い香りに誘われて、ボランティア段原さんのおぜんざいの列に並びます。甘味処は、子どもたちにも大人気。
「ぜんざいが美味しかった!って子どもさんからお礼のチョコレートをいただいたのよ」とスタッフさん。
生きがいづくりのため高齢者サロンで活動している皆さんは、普段小さな子どもたちと接する機会がないとのこと。
「皆さんの笑顔が見れること、それが何よりも嬉しいの」。
段原のおばあちゃん、来年も必ず、お互いに元気で会いましょうね。
地域の魅力を知る第一歩がすぐそこに│しぜんとひろしまブース
会場内には、アウトドアや焚き火をテーマに、あらゆるブースが多種多様なプログラムを用意していました。興味が湧けば飛び入り参加できるワークショップもあり、その自由度も嬉しいところ。
湯来体験交流センターさんでは、自作リース作りに励む人で賑わっています。あともう少しでクリスマス。クリスマスの楽しさは、その日を待ちわびる日々の中にもあります。手作りのリースは、ホリデー気分を一層高めてくれるでしょう。
教えてくれるのはもちろん湯来町在住の皆さんですが、驚いたことに、首都圏から移住してこられたとか!湯来町の魅力を聞くと「大自然を利用したアクティビティが豊富。今後の可能性を感じる土地だね。そして一番は、人の良さ。地元の方々はみんな優しくて」と話してくれました。広島在住の私でさえ、湯来町についてあまり知識がありません。日常にある当たり前ほど、透明で気づかないものです。
「蛍が舞う時期は、湯来の森がクリスマスツリーになるから一度見においで」。
当たり前だと気付かない幸せに目を向ける。ふと覗いたリース作りから、広島再発見の扉が開きました。
落ち葉焚きでアツアツの焼き芋を
皆さんお待ちかね、15時のおやつならぬ、14時の焼き芋タイムが始まります。用意されたさつまいもは、三次おかもと農園さんの紅はるかです。BINGO BBQ協会代表、向井秀樹さん指導のもと出来上がったスペシャルな焼き芋がこちら!
焚き火を囲んでアツアツの焼き芋を皆が頬張る光景を見て、少し涙が出てしまったのはここだけの秘密にしてください。
新型コロナウイルスの影響で昨年の開催は中止となり、2年ぶりに実施となった「あっ“たまる”比治山」。私たちはこの約2年間、誰かと会うことも、大勢で集うことも、満足にできませんでした。コロナ社会で一番きついのは、毎日が分断の連続であること。心が闇落ちしてしまいがちだった期間を経て、焼き芋を通じて幸せをシェアする空間を、私は心から愛おしく思えました。そう感じたのはきっと、私だけじゃないはずです。
心も体もあったかさでいっぱいに。昼間の太陽が優しく微笑んでくれたので、着ていたダウンジャケットを脱ぎ、湯気が立つホカホカの焼き芋を美味しくいただきました。
自由にのびのび、冒険がいっぱい│ASOBIBA(あそびば)
寒空の下でも、子どもたちはスーパー元気。広場には、走り回る足音と笑い声が、常に響いていました。
みやうち冒険遊び場さんが用意した遊び場では、まい切り式の火起こし器や虫メガネを使って、火と真剣に向き合う子どもたちの姿がありました。
けん玉や駒回し、昔ながらの遊びにも夢中!少し早いですが、気分はちょっぴりお正月です。
のこぎりやトンカチなどの大工道具が置かれたエリアでは、木材を使って一心不乱に何かを作っている子も多数。おぼつかない手元に、思わず「危ない!」と声をかけたくなりますが、ここは子どもたちだけの遊び場です。大人の役割は、見守ること。それだけです。
子どもが遊ぶ機会や場所が失われつつある昨今、禁止事項を無くした遊び場で、子どもたちの本物の笑顔を見たように思います。自由に遊ぶって、とっても素敵ですね。
14時半になると、たき火を囲んだ語らいの時間、KATARIBA(かたりば)タイムへ突入です。
1日目は、アウトドアブランドTHE NORTH FACEをはじめ多様なアパレルを扱う、ゴールドウイン常務執行役員の森さんと、アウトドアファッション雑誌『GO OUT』プロデューサーの竹下さんを招いてのトークセッション。
こちらの様子は、また後日、じっくりとお伝えしようと思います。お楽しみに。
1日目夜の、たき火ソーシャルアウトドアナイトに続く
TEXT:大須賀あい PHOTO:香川 賢志
あっ“たまる”比治山2021 フォトレポート
あっ“たまる”比治山2021 1日目レポート
あっ“たまる”比治山2021 1日目KATARIBAレポート(準備中)
あっ“たまる”比治山2021 2日目レポート
あっ“たまる”比治山2021 2日目KATARIBAレポート(準備中)
あっ“たまる”比治山2021 番外編|たき火ソーシャルアウトドアナイトレポート
【実施概要】
名 称: あっ“たまる”比治山 2021 https://satomachi.jp/attamaru-hijiyama2021/
主 催: 広島市(政策企画課)・SATOMACHI(市の業務受託者㈱和大地の運営チーム)
事務局: ㈱和大地
協 力: OUTDOOR SAVAGE 、安芸高田市観光協会、遊び場「タコゲーム」、アフィーレ広島、APORITO広島店、株式会社石見麦酒、上田康二、株式会社エージェントゼロ、おかもと農園、かけっこスクール、賀茂泉酒造、カルビー株式会社 Calbee Future Labo、CARLOS、北川麦彦、キムラミチタ、株式会社キャンプドアーズ、株式会社ゴールドウイン、サゴタニ牧場、庄原DMO、SEIRA SKIN FOOD STAND.、一般社団法人ソーシャルスポーツイニシアチブ、大和重工株式会社、竹下充、段原キッズクラブ、段原地区町づくり協議会、一般社団法人地域商社あきおおた、TONQAL、庭能花園、野塾、野良道具製作所、P-BERRY、広島環境サポーターネットワーク、広島自然観察会、広島市現代美術館、広島市まんが図書館、NPO法人ひろしまジン大学、BINGO BBQ協会、株式会社Forema、FROM EATS、ボランティアだんばら、みやうち冒険あそび場の会、無印良品、山口ようこ、ヤマノイ株式会社、湯来交流体験センター、ワンダフル商店 幅屋(五十音順)
総合MC:キムラミチタ
日 程: 2021年12月4,5日(土,日)
時 間: 10:00-15:00
会 場: 比治山公園御便殿広場