こんにちは。satomachiコーディネーターの田尻です。私は年齢としては子育て世代を少し超えているのですが、子どもはいません。ですが前職で子どもたちを対象としたイベントの事務局で働いていたことや、satomachiのイベントなどで子どもたちと関わっており、自分は子どもたちや保護者のみなさんの様子など客観的に見守る立場だなと勝手に感じています。
比治山のポテンシャルと各界のエキスパートを和えて、新たな可能性を見出す「あえる比治山」。今回は初のオンライン開催でした。
子どもが自分で生きる力を養う|NPO法人もあなキッズ自然楽校 関山隆一
関山さんは神奈川県で6つの保育園を運営されていて、「子どもが自分で生きる力を養う」というミッションを持って活動をされています。
satomachi代表の和田は、森のようちえん全国ネットワークにかかわっているのですが(「森のようちえん」とは、自然体験活動を軸にした子育て、保育、乳児、幼少期教育の総称です)、今回はそこでの関山さんとのご縁もあり、比治山で子どもたちに自然を楽しんでもらうために大人たちができることは何かをテーマに「あえる比治山」を企画しました。
子どもたちの「内なる“自然”」に耳を傾ける。まずは身近な自然を。そして、100年先を見つめる。|関山さんのお話
印象的だったのは、小さい頃山のそばに住んでいた人たちの、秘密基地作り率の高さでした。時代や地域は違っても、誰もが憧れてしまうものなんですね。
つづいて、アイスブレイクの後は関山さんのお話です。
そもそも子どもは、そこに坂があれば上って降りる。そこに大きな石があれば上って飛び降りる。棒が落ちていればそれを持つ。水たまりがあれば入りたい。
そんな『危ない』をやってしまうのが本来の子どもの姿で、子どもが本当にやりたいことなんです。
ここでいう自然とは、人為が加わっていないことです。子どもたちが無垢な心で自然と向き合い、感性をはぐくむことの大切さをお話されました。
そして話はこれからについて。これからの子どもたちに何を残すか。20年後、30年後の未来を描いて活動することが大切ということで、関山さんは「100年先をみつめる保育園プロジェクト」を立ち上げられました。そこでは、
・SDGs 次世代の子どもたちのための環境づくり
・作るものに対する責任、必要な分だけ作る
・地産地消の再生可能エネルギーの採用
といったキーワードを挙げながら、保育園や幼稚園に関わる人たちが消費に対するマインドを変え、100年先を健やかに生きていくために、今できることがはじめていこうと呼びかけられています。
◆100年先をみつめる保育園プロジェクト
https://www.maplecoco.com/project.html
未来を創るのは子どもたち自身だとしても、今を生きる一人ひとりが未来をみつめ、アクションしていった先に未来があると、言われている気がしました。
秘密基地にちらばって|グループワーク
参加者の方からは出た意見をご紹介すると、
- 子どもが自由に遊べる安心・安全な環境づくりが大事
・子どもたちが自由に遊べるための最低限の安全性が確保されれば、自然と多様な遊び方や体の動かしかたを覚えることができると思う。
・東京都内にあるプレーパークのように、プレーリーダーのような人が常駐し子どもが自由に遊ぶのを見守る仕組みがあると安心して利用できると思う。
・比治山は以前歩道以外歩けなかった。でも今は山肌の整備が進んで山に入れるようになってきた。山肌に入ると子どもはすごく喜んで走り回る。そういった場が増えると良い。
- 大人のニーズに合わせて
・コロナ禍で室内でやっている子育て支援広場は参加しづらいので、育児相談や子どもの遊び方相談が比治山のような屋外でできたら参加される方が多いのではないか。
・どこで何ができるという情報を出すことで、公園の利用が促進されると思う。
・大人のプレーパークがあっても良いのではないか。
- 比治山の活かし方
・比治山でキャンプなど宿泊できたらよい。
・比治山にはシカがいないからマダニがいない。子どもが落ち葉に入って遊ぶことができる貴重な場。広島県内にはそういった場所は減っている。
・比治山の樹木は原生林ではないので、もう少し落葉広葉樹を増やすなどゾーンを決めて多様な樹林に育てていくといろんな生き物が生息するようになり、多様な活用が可能になるのではないか。
想い・遊び・考える。大人たちの役割|まとめ
それは、(本質に)問いを持ち続けること。そこに問題解決はなく、ずっと問い続けることが重要です。それは環境や状況は変化しているからで、子どもたちの「なぜ?」「なに?」に対して大人が変に完結させないでほしい。
そして、「大人たちの役割は、広島をよくしたいという気持ちを持ち続けることです」と熱いメッセージを残してくださいました。
「大人たちの役割」については、参加者の方から「子どもばかりでなく、大人にもプレーパークを」というアイデアが出て、参加者のみなさんが賛同されてました。
おそらくそこには、
「子どものためには、大人世代が変わっていかないといけない。そのためにも、大人自身がしっかり遊んで楽しめていることが大切で、その姿を子どもたちに見せること、大人もセンス・オブ・ワンダーをはぐくむことが大事よね」
という想いをみなさんが持たれていたからではないかと想像しました。
最後に、参加者の感想のなかで印象的だったのは、「子どもたちの未来について考えてくれる大人がこんなにもいると分かって嬉しい」という言葉です。
子育てや教育現場などで迷いや不安を抱える方も多いと思います。今回のあえる比治山ではさまざまなフィールドで活動、生活している人がそれぞれの視点で語れる場となりその中で新たな発見や振り返りに役立てたのではないでしょうか。
あえる比治山 vol.8 企画概要
文/田尻 知恵
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