SATOMACHI/さとまち

街中の自然を味わう仕掛けで、未来を創る。

いいことをしている感覚はあったけど、楽しくできるというのはビックリ。|あっ“たまる”比治山 ~スポGOMI 編〜

『枯れ葉がたまり、たき火であたたまり、未来への想いがたまる。そんな冬のone dayに。』

広島市とSATOMACHI(運営会社:和大地)が主催する「あっ“たまる”比治山」は、冬の比治山公園を楽しむ、スポーツGOMI拾い・たき火・ワークショップ・外遊び・トークセッションのほっこりone dayとして開催しました。まずは午前中に開催したスポGOMIの様子をレポートいたします。楽しみながら綺麗にする、そんな一石二鳥の取り組みをみんなで楽しみました。


あっ“たまる”比治山 ~スポGOMI & たき火Day Camp~

12月8日(土)、朝10時前、比治山公園。

まんが図書館奥の「御便殿(ごべんでん)広場」には、小さな子どもを含む多くの家族連れが続々と集まりつつあった。

公園に着くなり探索を始めた子どもたちは「あっ、どんぐり!」「ほんまじゃ!どんぐりあるぞー!!」「えーっ!うわぁ、ほんまじゃあ!」とさっそく大盛り上がり。その楽しそうな様子に、肩をすくめて「寒っ」とつぶやいていた大人たちも思わず顔がほころぶ。

気温は5℃。

それなりに寒くて天気がいい、という絶好のたき火日和でした。

たき火をして、焼き芋を食べたい。火の大切さと危険さの体験も。

「比治山公園で、たき火をして、焼き芋を食べたい」という、小さな夢からスタートした、この企画。「冬の公園は寒くて訪れる機会があまりないですよね。火の大切さと、危険な面も感じてもらって、注意事項を守って比治山で楽しく過ごしてほしいです」と開会の挨拶で趣旨が説明され、イベントの主役である「たき火」の着火式が行われました。

広島市担当者、地元消防団(南消防団段原分団)、段原地区町づくり協議会、段原おやじの会それぞれの代表者が前に出て、参加者の「3、2、1、ファイヤー!」の掛け声とともに火が点されると、100名を超える参加者からは一斉に拍手が。割れんばかりの拍手・・・となるかと思いきや、ポスポスポスポス…という低く鈍い音。このあとの「スポGOMI」に備えて全員が軍手を装着していたため、音は響きませんでしたが、火が見えてくるとみんなの気持ちが自然と高まるのがわかりました。

「この炎が皆さんの焼き芋に変わります!」

高らかに宣言されたあと、いよいよ『あっ“たまる”比治山』第1部、スポーツゴミ拾い『スポGOMI』がスタート。

ゴミ拾いは、スポーツ?【スポGOMI】比治山特別ルール採用!

スポGOMI代表理事の馬見塚氏
スポGOMI代表理事の馬見塚氏

「ゴミ拾いはスポーツだ!」が合言葉のスポーツゴミ拾いは、制限時間内に、決められたエリア内でゴミを拾うという競技で、可燃・不燃、ペットボトルやたばこの吸殻など、種類ごとにポイントが決まっていて、チームで集めたゴミの種類と重さで獲得したポイントで順位を決めます。日本全国のみならず海外でも開催されていますが、今回は比治山特別ルールとして、本来は得点にならない「落ち葉、枯れ枝」も、チーム2袋までOKとなりましたた。

「正々堂々、比治山をキレイにすることを誓います!」

参加37チームを代表して、チーム・29野郎’s(にくやろうず)の西江選手が堂々の選手宣誓を行ってくれました。

そして、全員で「ゴミ拾いは?」「スポーツだ!」の掛け声と共に元気に拳を突き上げると、いよいよ競技スタート。チームごとに公園内の各所へ散らばっていきました。

子どもから高齢者まで様々な世代のたくさんの人が、それぞれ分別用ゴミ袋を手に、常にナナメ下を向いてゆっくり歩く姿にはプロの掃除業者さんも怪訝な顔。スタッフから説明を受けて納得しつつ、「そんなスポーツもあるんじゃねぇ」とちょっと不思議そうな表情を見せていました。

自動販売機の下や側溝を覗き込んでは「やったー!取れたぞ!!」と空き缶を拾い上げたり、「ぜんぜん落ちてないっすね」「あっちにあったよ」など情報交換をしたり、藪の向こうから「うぉ~すげぇ!こっち、いっぱいあるよー!」と興奮した声が聞こえてきたり…。

寒いけど、なんかアツい。ゴミ拾いは、たしかに、スポーツでした。

まんが図書館や現代美術館下の駐車場付近で出会った親子4人チームは「ふだんは気にしていないから、あんなにゴミがあると思わなかったです。車の後ろは捨てやすいんですね、きっと。」と驚いた様子で、小学生の男の子は「見えないところに(ゴミが)あったよ」と教えてくれました。

制限時間の60分が過ぎる頃には、各チームが多種多様なゴミを詰めた袋を持って広場へ戻ってきました。

「ちびっ子ばかり(のチーム)なので広場でしか拾えなくて、ぜんぜんゴミがありませんでした。子どもたちはどんぐりばかり拾ってて…(苦笑)。みんな、どこで(ゴミを)見つけてきたんだろう」というママと子どもたちのチームもあれば、朽ちかけたポリタンクや三角コーン、ドラム缶(の一部)など大物をたくさん集め「下に行ったら落ちてた。ビンもたくさんあって、袋が破れた」というパパ&男の子のチームも。戦果はさまざまながら、どのチームも心なしか表情がすがすがしいような…。

分別袋ごとに計量され、得点集計を待つ間、参加者からは焼き芋を楽しみにする声が聞かれ始めました。

また、会場内あちこちに用意された小さなたき火スポットでは、「空気の通り道を作るのがコツ。火は下から上にあがるから、大きい木は上に置くこと」とのアドバイスを受けて参加者たちが着火し、落ち葉や小枝などをくべながら暖をとっていました。

さて、いよいよ表彰式。

結果はブービー賞(チーム名:でしおキャッチャーズ)のあと3位から発表され、集めたゴミの重量や獲得ポイントが発表されるたび、感心するような「おぉ~」という声が響きました。

3位 10.83kg(1,081ポイント) けいしもルー

2位 22.58kg(1,450ポイント) 29野郎’s

…と順番に成績が発表され、司会のキムラミチタさんが「我こそは優勝だと思う人!」と挙手を促すと、かなりの人数が元気よく手を挙げた。手ごたえを感じていたチームが多い中、重量こそ2位のチームより少なかったものの、ポイントで上回ったチームが栄えある初代王者の座についたのは、

1位 17.3kg(1,730ポイント) ヒラえもん

リーダーを務めた男の子は「1位になることを意識していたので、1位になれてよかったです」と、アスリートさながらのコメント。チームの母体である放課後等デイサービス・ミリミリーの藤井さんも「子どもたちがすごくがんばって拾ってくれて、楽しくなってきたという声を聞いて嬉しくて。(ゴミ拾いは)いいことをしている感覚はあったけど、楽しくできるというのはビックリしました。スポーツですね、ほんとに。みんなで楽しめるスポーツだと思います」と興奮気味に話してくれました。

「全国や海外でもスポGOMIを行っているが、こんなにファミリーで参加してくれたことは初めて」と驚きつつも喜びをのぞかせた日本スポGOMI連盟・代表の馬見塚健一氏は、「集まったゴミの総重量は280kg。今日は、この1年で比治山がいちばんキレイだと思う。参加者の皆さんは、帰り道ではゴミが気になって仕方がないはず。拾う楽しさを感じた一方で捨てない気持ちも生まれただろうから、これからも比治山をキレイに保ってほしい」と講評し、比治山でのスポGOMI第1回大会を締めくくりました。

コメントを書く

*
*
* (公開されません)