SATOMACHI/さとまち

街中の自然を味わう仕掛けで、未来を創る。

おいしい焼き芋とたき火があれば、冬でも外で楽しめるんです|あっ“たまる”比治山 ~たき火DayCamp編〜

『枯れ葉がたまり、たき火であたたまり、未来への想いがたまる。そんな冬のone dayに。』

広島市とSATOMACHI(運営会社:和大地)が主催する「あっ“たまる”比治山」は、冬の比治山公園を楽しむ、スポーツGOMI拾い・たき火・ワークショップ・外遊び・トークセッションのほっこりone dayとして開催しました。後半は午後に開催したたき火DayCampの様子をレポートいたします。

たき火を囲んでひろがる憩いの時間【たき火Day Camp】

午前中のスポGOMIのあとは、お待ちかねの焼き芋。

三次市・岡本農園から取り寄せた焼き芋には最適だという品種「紅はるか」を1人1本受け取って、水で濡らした新聞紙とアルミホイルで包んでたき火へ投入。たき火で芋を焼くのは初めての参加者も多く、おそるおそる火に近づく人や、怖がって遠くから芋を放り込む子どもも。そんなドキドキも、たき火の醍醐味。お手本を見せながら、注意をすれば必要以上に火を怖がる必要はないと教える親御さんもいて、自然と親子の会話が生まれていました。焼きあがるまでの所要時間は、約2時間。

それまでは、それぞれが好きに時間を過ごすことに。自由に楽しめるよう、会場内にはさまざまなコンテンツが用意されていました。

外遊び|懐かしい光景が広がる。

広場奥には昔ながらの外遊びが楽しめるエリアが設けられ、子どもたちは凧揚げや竹とんぼ、けん玉などさまざまな遊びを満喫。子どもたちが生き生きと、縦横無尽に走り回って遊ぶ様子は、数十年前は当たり前に見られた懐かしい光景。車も通らない、安心して遊ばせておける広場だからこそ、親御さんたちも少し離れたところでたき火にあたりながらおしゃべりに花を咲かせることもできました。ビバ公園!!

パネル展示|「比治山公園 これまでとこれからのものがたり展」

別のスペースでは比治山公園の歴史を振り返る「比治山公園 これまでとこれからのものがたり展」が行われ、明治維新から昭和晩年の段原地区再開発のようすまでの写真パネルが展示されていました。
ちなみに、会場の「御便殿広場」の「御便殿(ごべんでん)」は、日清戦争のとき臨時首都となった広島で明治天皇の休憩所として建造された建物で、1909年(明治42年)に広島市中区からこの場所へ移設されたもの。建物は1945年(昭和20年)に原爆投下で壊滅し、今は広場として多目的に活用されているとのこと。

ほっこりタイム

さらにたき火の近くに建てられた竹テントでは、地元・段原の「ボランティアだんばら」によるぜんざいや、安芸高田市のカフェ「iegoto」のコーヒーとホットレモンが販売されて大人気に。
また、受付ではスモア(焼いたマシュマロをチョコレートと一緒に食べるアメリカンスイーツ)&みかん(焼いても焼かなくてもヨシ)が楽しめる「焼き焼きセット」を販売。たくさんの家族やグループが火を囲んでお弁当やおやつをほおばり、それぞれのペースでそれぞれの楽しみ方で、過ごしていました。

広い会場の中、竹テントの脇で異彩を放っていた、アウトドアブランド・THE NORTH FACEの地球儀のような風船のような球形テント「ジオドーム4」は、オシャレなアウトドアライフに憧れる(?)大人たちの興味も引いただけでなく、ふわふわドームや秘密基地が好きな子どもにも大人気。その他にも、いろいろなサイズ&形状のペレットストーブも展示され、暖かさや、調理にも使える便利さなどを間近に体験することができました。ペレットストーブは知る人ぞ知るエコな暖房器具で、現状、人気の面では薪ストーブにやや水を開けられている感がありますが、燃料となる「木質ペレット」の原料は間伐材や廃材と環境にやさしく、燃やしたときにススが出にくいのも特徴のひとつ。必要量が自動的に燃焼ポットへ供給されるため、気付いたら消えていた!ということもほとんどなく手軽というのも魅力なのだそうです。

このように広場中に100人を超える人たちが広がってそれぞれの楽しみ方をしている中、トツゼン空から冷たい粒が………。「…雪?」「雪だ!」知らない人どうしも顔を見合わせて天の粋なはからいに驚き、子どもたちは大はしゃぎ。
空は青空。風花はあっという間に止んでしまったものの、屋内イベントでは起こりえないサプライズは、焚き火のけむりとあいまって幻想的な景色をつくりだし、真冬のイベントを大いに盛り上げてくれました。

思い思いに過ごせる楽しさ【ワークショップ&トークセッション】

冬のDayCampを楽しむプランは、これだけでは終わりません。自然素材を使った和風と洋風のリース作りと、比治山の魅力を生かした新しい楽しみ方を模索するトークセッションです。江田島のオリーブの葉を使ったリース作りと、稲わらでのしめ縄作りのワークショップは、それぞれ複数回開催されましたが、各回満員御礼の大盛況。参加者は大人も子どもも真剣な表情で講師の話を聞いて、慣れない手仕事に夢中になっていました。オリーブの小枝をつなぎ合わせて輪にするリース作りを体験した女性は、「なかなか難しかったです。先生のおかげで、なんとかできました。ありがとうございました。」と出来栄えに満足げ。しめ縄作りにチャレンジした人からは「難しかった。くじけそうになりました(笑)」との声や「楽しかったです。夢中になりました。今年はこれを飾ります!」との声が聞かれました。完成度に満足の人もやや不満が残った人もいたようですが、間違いなく世界にひとつだけのオリジナル作品。玄関に飾れば他では得られない存在感を示してくれるにちがいありません。ワークショップに精を出す人、走り回る子ども、スモアなどたき火スイーツに舌鼓を打つ人などなど。それぞれが自由に公園での冬の休日を楽しむ中、トークセッション「アーバンアウトドア比治山の可能性」が始まりました。のんびり座れるディレクターズチェアに身を沈めてトークしたのは、THE NORTH FACEの森光さん、段原おやじの会の妻木さんと、主催者であるSATOMACHIの和田徳之、司会のキムラミチタさんの4人。
まずは和田が「子どもの頃は外で遊んで、凧揚げをしたり、木に登って落ちたり。その延長にアウトドアがあると思う。広島市中心部にある比治山は、もっとこうして楽しめるのでは」と口火を切ると、前日に東京から来広し、新幹線を降りたその足で比治山公園を下見に訪れていた森さんからは「広島駅から歩いて来られて『すごく近いな』と感じた。都市に近いのに森が生い茂っていて、素敵な公園」とその印象を語りました。地元で生まれ育った妻木さんからは「比治山は段原じゅうの子どもが自然に集まる場所でした。ここに上がらない日はないくらい。虫取りしたり、動物を探したり、探検っぽいことをしたり、野球をしたり。今は木が生い茂りすぎて虫も動物もいません。もともとあった林や森の形はできるだけ壊さず、いろんなものを整備していけたら」と比治山への愛着を語ると、森さんは「森は年月をかけた財産。木に囲まれた空間がすごく大事だと思います。バサッと切って見晴らしを良くするより、必要最低限の手入れにした方がいいのでは。今日はみんなすごく楽しかったと思う。いつ来ても焼き芋が食べられるといった来る理由や、来たら楽しいことがあれば来るはず。街から近いところでキャンプやハイキング、トレイルランニング、クライミングなどのアウトドアスポーツができたらいいですね」と比治山の価値や可能性について言及されました。実際、この日はいつもと異なるにぎやかさに、現代美術館帰りの人や犬の散歩中の地元の人が「何をしているんですか」と立ち寄って、たき火に当たりコーヒーを買って帰るなど、飛び入り参加をして公園の滞在時間を延ばしていました。たしかに、楽しい場所には人が自然に集まるというのは間違いなさそうです。

最後は、お待ちかねの焼き芋【焼き芋】

さて、そうこうするうちに焼きあがった、お待ちかねの焼き芋。真っ黒になったアルミホイルから出てきた紅はるかは、ホクホクで冷えた手を温めてくれて嬉しい上に、そのおいしさは前評判通りかそれ以上のおいしさ。抜群の甘さは、しつこくなく、老若男女を問わず思わず「おいしい」と口をついて出てきました。やっぱり、寒い時には、あたたかくておいしいものが欠かせません。 ハフハフ言いながら、焼き芋を食べたら、いよいよイベントもフィナーレです。「子どもたちが火を燃やすのに夢中になっていた」というお母さんの言葉通り、ふだん機会がない火に触れる体験を満喫した子どもは多かったようで、最後の火消しや燃えかすの片付けまで手伝う子どもたちが何人もいました。
帰りがけに「すっごく楽しかったです。2回、3回と次も絶対やってください。絶対!必ず来ますから!」とスタッフに熱く感想を伝えてゆく参加者もいました。

トークセッションの中で、進行役のキムラさんが口にした

お店があるわけでもなく、スポGOMIのあとは特にやることもなかったのに、話したり遊んだり、みんな楽しそう。
放っとくのも大事なのかも。

という言葉。そして妻木さんの

何もないけど、ここに上がって日向ぼっこしたり、草木を眺めたり。そういう『縁側文化』をつなげていきたい。

という言葉こそ、今日のイベントを象徴しているのではないだろうかと感じました。
オシャレなショップやマルシェも、大げさな道具や遊具もなく、派手な企画があるわけでもないのに、みんなが幸せそうに楽しそうに1日を過ごす。こんな公園の使い方、楽しみ方があるんだなぁ、とその場で時間を共有した多くの人たちが感じたにちがいありません。

「暖かい時期には、暖かいなりの楽しみ方がある」
と主催者からは今後を期待させる発言も飛び出し、今から次が待ち遠しくなります。
次回もまた、今回のような素敵な時間や空間を、みなさんと一緒にシェアしたいものです。

 


【実施概要】

名 称: あっ“たまる”比治山
主 催: 広島市・SATOMACHI
事務局: 株式会社和大地

協 力: iegotoイオンモール株式会社広島段原ショッピングセンター有限会社一場木工所、江田島市地域おこし協力隊 西村京子、川崎市黒川青少年野外活動センター、キムラミチタ、株式会社ゴールドウイン、障害者就労継続支援事業所広島作業所、段原おやじの会、段原公民館、段原地区町づくり協議会、日本スポGOMI連盟、庭能花園、株式会社ノラクリエイト広島市現代美術館広島市まんが図書館NPO法人ひろしまジン大学BINGO BBQ 協会、ボランティアだんばら、南消防団段原分団、モチプロ・サポーターズヤマノイ株式会社(五十音順)

日 程: 2018年12月8日(土)
会 場: 比治山公園御便殿広場

タイムテーブル:

9:30- “第1回スポGOMI in 比治山” 受付開始 準備
10:00- 開会式・ルール説明 パネル展示
10:30- 競技開始
11:30- 計量
12:00- 閉会式・結果発表
12:20- ランチタイム:お弁当希望受付あり
13:00- “たき火Day Camp” ワークショップ“リース”“しめ縄” 外遊び/たき火
14:00- ワークショップ“リース”“しめ縄”
14:30- トークセッション
14:50- ほっこりタイム
15:00- 終了 片付け

詳細案内→ https://satomachi.jp/blog/2018/11/08/attamaru-hijiyama/

コメントを書く

*
*
* (公開されません)