SATOMACHI/さとまち

街中の自然を味わう仕掛けで、来を創る。

みんなで支え合うからこそできる。景色をととのえるチカラ|ととのえる比治山vol.8

比治山が街中の里山(自然と共生できる場所)として今よりもさらに人々が楽しく活用できることを想う方々と、一緒に考えながら少しずつ比治山の整備に取組む、広島市とSATOMACHI(運営会社:和大地)が主催した「ととのえる比治山vol.8~変わる季節と変わらぬ柴刈り~」。2020年11月以来の約1年ぶりとなる柴刈りとなりました。今回は、これまでの大きな被爆したクスノキが目印の比治山公園「トンネル上の広場」から場所を変え、南麓に位置する「三段公園」で、午前・午後と秋晴れの陽射しをたっぷり浴びながら柴刈りをしました。

また、今回も一般参加に加えて、ボランティア活動や企業のCSR活動などの一環で、柴刈りなどを行っていただける企業のみなさまにも参加していただきました。

参加団体一覧(五十音順) 株式会社フジタマツダ株式会社カルビー株式会社

準備体操は、みんなができるラジオ体操で

柴刈りでは、ずっとかがんだ姿勢でノコギリを引いたり、斜面を登り降りしたり、切り終えた木を運んだりと、普段の生活では使わない体の部分や筋肉をよく使います。普段体を動かし慣れていない人にとっては、ケガにつながりかねません。そのため、準備体操をちゃんとしてから作業にとりかかることが大切です。

90人を超える参加者。年齢も大きく異なる人たちが集まる中で、「ラジオ体操をしよう!」のアイデアが飛び出し、参加者みんなで準備運動としてやりました。決して声を出さなくても、音楽を流せば、世代を超えて誰もができるラジオ体操。思わぬ連帯感を生み出してくれました。

切れば切るほど、切りたくなる

体の準備ができた後は、頭と心の準備。森の中では、いつ、何が落ちてくるかわかりません。何かの拍子に、木に引っかかっていた枝が落ちてくることもあります。そうした安全管理や、装備の確認、道具の正しい使い方を最初に学び、作業に入っていきました。

雑木を切りだす班と、その切り出された木の枝葉を落とし薪をつくる班とに分かれて作業を進めていきました。場所によっては、藤の弦(つる)がたくさん木に絡まっていたり、触るとかぶれやすい植物が生えていたりと、トゲだらけの野茨(のばら)があったりと、狭いエリアの中でも様々な植物があることに気づきます。

しばらくすると、柴刈り作業にハマり、みんながどんどん目の前の雑木を切っていきます。いつしかその切られた木は、三段公園の地面を埋め尽くすほどに。しかし、みんな手を止めることはありません。視界を遮る枝葉が無くなるまでと、一心不乱に作業を進めました。

押し寄せてくる、達成感

作業開始から1時間半経った頃には、おおよそ予定していた間伐の8割が終了。少し離れて自分が作業した場所を見てみると、「へぇー、すごく変わるんだなー」「気持ちいいなー」といった充実感と喜びと満足感の入り混じった感想を漏らす声が聞こえてきました。
作業の合間に、子どもたちが植物の葉っぱを詳しそうな人に持って来て見せて、「これは何の木?」と質問し、わかる人が「シャリンバイだよ」「それはヒラドツツジだね」と優しく答える場面もありました。
実はこうした質問は、子どもだけでなく、周りで作業している大人にとっても「そういう名前なんだ」と学びになるので、みんなにとってありがたかったりします。

予定より早く午前の作業を終えました。そのままお昼休みではなく、振り返りの時間を持ちました。
そこからは、腕は疲れ、握力も無くなりそうでも、自分たちの力で景色が変わることを実感できたようで、「達成感があった」という感想を数多く聞くことができました。

体の芯からおいしい、お昼ごはん

お昼ごはんは、予約をいただいていた方は、比治山公園近くの的場町でアウトドアご飯を提供する飲食店のTONQAL(トンカル)さんの特製弁当と、地元のお母さんたちのグループ・ボランティア段原さんの豚汁をいただきました。

くたくたの体に、そのおいしさは染みわたりました。ただでさえおいしいのに、秋晴れの下、森の中で、あたたかいご飯を食べる。最高です。

やりきる責任

午後の主な作業は、枝葉の処理と薪づくりでした。
午前の振り返りの時に、指導いただいているひろしま人と樹の会の櫻井さんが「木を切るのは楽しい。でも手を入れたからには、その木をちゃんと処理するところまでやりきることが、整備では大切」と言われました。確かに最後まで作業し、このあと誰もが安心して過ごせる場所にしておく責任があります。
そういったことを心に刻み、11月と思えない陽射しの強さとつきあいながら、みんなで作業を最後までやりとげました。

最後は、みんなで集まり、ととのえる比治山ではお決まりとなりつつ、「どんぐり~」「コロコロー!」とみんなで声を出し、無事に作業が終わったことを感謝し合いました。

支え合うチカラと景色をととのえるチカラ

柴刈りや草刈りといった一見地味だけど、快適な暮らしを営む上で大切な作業があります。実際に、ととのえる比治山で作業をしていると、あまりの木の多さに「こりゃ、一人じゃ埒(らち)があかんわ」と心の底から感じます。
そんな時、一緒に作業をしている人(仲間)がたくさんいると、不思議と「みんなががんばっているから、自分もがんばってみよう」という気持ちになり、大きな支えになってくれます。そうした一人ひとりのがんばりと支え合いが、地道な作業をやりきる原動力となり、そうした作業を積み重ねた結果、公園に陽が入り、風が抜け、明るく気持ちの良い景色が生まれてくることを、ととのえる比治山がある度に感じます。

「1人の100歩より、100人の1歩」という海外のことわざがありますが、1人では難しくても、100人いると変えられる景色があり、それがととのえるチカラなのかもしれないなと、ふとそんなことを思った、秋のまぶしい夕暮れでした。

奥が柴刈り前の森。向こう側が見えないほど生い茂っていた。
柴刈り後は、光が入り、明るい森に。

ととのえる比治山Vol.8 企画概要

主 催:広島市(政策企画課)・SATOMACHI(市の業務受託者㈱和大地の運営チーム)
事務局: 株式会社和大地
協 力:TONQALNPO法人ひろしま人と樹の会、ボランティア段原、林業舎 雨と森(五十音順)

日 程:2021年11月7日 日曜日
時 間:受付開始 8:30- / プログラム開始 9:00- / 午前の部終了予定 11:40 / 午後の部終了予定 14:30 / 解散予定時刻15:00 
会 場:比治山公園 三段公園・陸軍墓地
集合場所:比治山公園 三段公園の上のスペース

実施内容:柴刈り(小さい雑木の刈取り及び草刈り)およびゴミ拾い
参加費:お一人様200円(保険加入料含む:事務局側で損害保険・賠償責任保険に加入いたします) 豚汁一杯300円 トンカルランチボックス@700円
対象:大人(柴刈り経験者及び初心者)、親子参加(小学生以上を対象)
案内:http://satomachi.jp/totonoeru-hijiyama008/

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